2022/02/15
ディレクターという職業柄、お客様をはじめ社外の方とのコミュニケーションをとらせていただく機会が多いのですが、「万人共通の正解」って存在しないんだなぁと、常々思う事があります。(当然ながら「失礼な発言」「失礼な態度」をしないのは大前提で!)
例えばこんな話。
あるところに話題の新商品を仕入れた家電量販店がありました。
その店の店員は日頃から親切・細やかな接客を心がけており、新商品の販売実績も常に上位をキープしています。
ある日、来店したお客様のAさんが、店員に新商品についての説明を求めました。
商品にまつわる詳細な説明を聞いたAさんは「説明が丁寧で分かりやすい」と、店員の説明に好感を持ち、すぐにその商品が欲しくなり悩むことなく購入しました。
別の日、お客様のBさんが来店し、同じ店員に新商品についての説明を求めました。
以前Aさんを担当した店員は、Aさんに販売した時の実績に自信を持っていたので、Aさんに話したのと同じ説明をBさんにも伝えることにしました。
・・・・・・しかし、
店員の説明を受けたBさんは「話が細かすぎて、結局何を伝えたいのかが分からない」と、商品を購入しないまま店を出ていってしまいました。
Aさん・Bさんのどちらも、
「新商品への興味」
「担当した店員」
「店員から受けた説明」
これらは全く同じものです。
それなのにどうして、店員への反応が全く正反対の結果になってしまったのでしょうか?
店員のとった対応は「間違っていた」のでしょうか?
それとも「正しかった」のでしょうか?
この問題、皆さんはどう思われますか?
私は、この問題の答えは「あって無いようなもの」なのかなと思っています。
自分にとっては「正解」であっても、それが誰かにとっての「正解」とは限らない。
↑の例の場合だと、店員とお客様Aさんにとっての「正解」・店員とお客様Bさんにとっての「正解」は、新商品の紹介にまつわるコミュニケーションにおいては、同じものではなかったということですね。
つまり「正解」とは、個々人によって異なるということ。
・・・・・
・・・・・
「そんなの当たり前だろー!」
って思われる方。きっとたくさんいらっしゃるんだろうなぁと思います。
本当に、そう。全くもってその通りです。
人それぞれ過ごしてきた環境は違っているのが当然で、そんな日々の中で個々の「価値観」が形作られることを思えば・・・これといった「答え」を持たないモノゴトの「正解」は、人によって異なるのが自然なことです。(同じ家庭で育った兄弟姉妹でさえ、似ることはあっても全く同じにはならないのですから…)
かえって完全に同じ価値観を持つ相手を探すことの方が、途方も無いことのような気がしますね・・・( ゜ω ゜; )
けれど「頭では理解」していても、じゃあどうすればいいのか「対応策を知っている」こととは別問題です。
●人によって価値観は違う
↓
●相手の価値観を知れば、相手の考えていることが少しは分かるかもしれない
↓
●じゃあ相手の価値観を知ろう!
↓
●相手に価値観を聞こう!(聞くの?直接・・!?)
分からないことは知ったかぶりせずに「分からない」と聞く姿勢は、幾つになっても心がけていたい理想の姿ではあります。
ありますけれども・・・・!
いきなり何の前触れもなく「あなたの価値観を教えてください!」なんて聞かれて、身構えずに「い〜よ〜( ^ω^ v )」と応えられる人が、果たしてどれだけいるのでしょうか・・・・・
少なくとも自分は( ・ ω ・ )←一瞬こんな顔になる自信があります。
怪しまれず(?)ごく自然に、相手の価値観(考え)を知るためには!
・・・・・色々考えながら調べてみた結果、私が行き着いた答えはこれです。
「傾聴力」を鍛えよう
ここで「傾聴力」(傾聴)とは何ぞ・・・?と思った方は、こちらを御覧ください。
「傾聴」において、とても大事なことは相手からかけられた言葉を「そのまま受け止める」こと。もちろん否定や批判などはNGです!自分の意見(価値観)と異なるからといって、説得や意見の押しつけをしようとしてはいけません!
聞き手は話し手に耳を傾け、否定も反論もせずあるがまま耳を傾けます。時折、相手の言葉に「相槌」をうったりすると尚良しです。
こうすることによって、話し手は「自分の話をちゃんと聞いてもらえている」と実感し、次第に安心を感じるようになります。同時に話すことへのモチベーションが高まることで、より自らの話を聞き手へと伝えようとしてくれるのだそうです。
– – – – – – – – – –
ということで、冒頭の店員の例に話を少し巻き戻してみます。
もしも、お客様Bさんへの新商品説明の時、「Aさんの時の成功」をそれはそれとして一旦脇に置いておいたなら、BさんはBさんの、Aさんとは別の意図があって購入を考えていると受け入れ対応していたら。
もしかしたら店員はもっとBさんについて新たな情報を知ることができていたのかもしれません。
例えば、
●普段から仕事が忙しく中々お店に来れない中、やっと合間を見て来店できた
(→ゆっくり話を聞いている時間がなかった為、情報を簡潔に分かりやすく知りたかった)
●大まかな情報は事前にネットで調べ済み
(→足を運んで来店したということは、直接見て知りたい何かがあったのかもしれない)
●知りたかったことは1種類の機能についてだけ
(→購入の決め手はその機能の有無次第)
・・・・・・などなど。
「たられば」の話にはなってしまいますが、もしも↑のような話を耳にしていれば、店員が次にとる行動も別のものになるのは明らかです。
そうなると自ずと結果も変わっていたかもしれません。
(購入結果についてはともかく、やり取りを終えたお互いの感情の種類が違っている可能性は高そうです)
一般的に「あの人コミュ力が高い」と耳にすると、
●誰とでも気兼ねなく話ができる
●友人が多い
●軽快なトークが得意そう
・・・などなどをパッと思い浮かべる人が多いのかなと思います。
けれど「コミュ力」とは・・・?と、改めて考えてみると一概に「そう」とは言い切れないのが面白いところだなと思います。
もちろんこれも個々の価値観によるものだと思うのですが、自発的に話す「おしゃべり」が得意でなくても、人の話を聞くのがうまい「傾聴力」の高い人もまた「コミュ力が高い」人ですよね。(気持ちよく人が話せるように、対応できるのも大事なコミュニケーション能力のひとつ)
私たちディレクターや営業の方なども、コミュニケーション能力を鍛える時にプレゼンなど「発信する」能力強化に目が行きがちですが、より良い案件の完成を目指して、お客様の「声」を楽しく引き出せるよう「傾聴力」も もりもり 鍛えていかねばなりませんね!└( ‘ω’)┘ ムキムキ
最後に、傾聴力を鍛える方法として、すぐにできるトレーニング法を2つご紹介します。
【1】相手の話を「オウム返し」する
例:相手「冬になると寒くて布団から出られなくなるんだ…」
自分「寒いと動きたくなくなるよね。布団の中は温かいからね〜」
(↑「布団から出られない」を「動きたくなくなる」に表現を言い換えたオウム返し)
【2】相手の話を「肯定」して返す
例:相手「◯◯海にドライブに行ってきたよ。良い気分転換になったんだ」
自分「◯◯海は綺麗だから、見ているだけでも癒やされますよね」
(↑前向きな言葉で、相手の発言・行動を肯定する)
※「オウム返し」はあからさますぎる(発言をそっくりそのまま返す等)と、相手によっては「からかわれている」や「おちょくられている」等、誤解を与えてしまいかねないので「適度な言い換え」がとても大事です!(+語彙力のトレーニングにも繋がるかも・・・?!)
まずは身近な人との会話の中から、意識してみる所からやってみましょう┗( ‘ω’)┛